ITビジネスに新規参入する前に知っておきたいこと

2022年03月15日

Webメディア事業やWebマーケティングツールの提供、シェアリングサービスやスマートフォンアプリなどインターネットに接続したデジタルビジネスを成功に導くにはどうしたら良いのでしょうか?この記事では現在のデジタルビジネス環境を俯瞰するとともに、様々なデジタルビジネスに関わってきた経験から失敗と成功を分けるポイントについて考察していきます。

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デジタルビジネス成功の鍵はどこにあるのか

デジタルビジネスは爆発的に増えている

画像提供:Franklin Heijnen, CC BY-SA 2.0

ひとくちにデジタルビジネスといっても、デジタルの活用のされ方で様々な種類の商品やサービスが存在しています。

  • ジュエリーや小物などのオンラインショップ運営
  • 個人のスキルや経験を売買するスキルシェアプラットフォーム
  • プロジェクトマネジメント機能も提供するようなクラウドワークスなどのクラウドソーシングプラットフォーム
  • レストランやホテルや病院などのオンライン予約システム
  • Uberなどのタクシー配車アプリ
  • Airbnbなどの不動産シェアリングサービス
  • DropboxやBoxなどのオンラインストレージサービス
  • Evernoteなどのメモアプリ
  • メルカリなどの個人や中小企業向けの販売プラットフォーム
  • ラクスルなどの工場と物流にインターネットを融合したもの
  • クラウドサインのような電子契約サービス
  • Kintoneなどの業務効率化サービス
  • HubSpotなどのマーケティング支援サービス

など、非常に多くのアイデアが様々なビジネスモデルのもとで提供されています。年々、デジタルビジネスの基盤となる技術の進歩やデジタルビジネス向けサービスの全世界規模での急速な増加により、デジタル技術によるビジネス構築のハードルが下がり続けています。

さらに近年ではプログラマー不在でもデジタルビジネスを立上げられるようになってきており、更なる参入障壁の低下により競争はより激化するという未来の見方が強まっています。

デジタルビジネス環境におけるパラダイムシフト
数年前のように選択肢が限定的だった世界とは異なり、現在のマーケットは企業が運営するもの、個人が運営するもの、Webブラウザ限定のもの、ネイティブアプリの形のもの、デスクトップ利用のもの、完全無料から課金して利用できるもの、さらには1回課金、従量課金、定額課金のものまで選択肢の組合せは無数に存在します。

そのため、一昔前のように「広告などにマーケティング予算をかければ十分なトラフィックの集客を期待でき、かけた広告費なども数ヶ月で単月黒字まで持っていける状況」とは異なり、デジタルネイティブな企業ですら、旧来型の意思決定ロジックと方法論ではビジネス成立や成長は非常に難しくなっています。

これは、選択肢の増加が国内プレイヤーだけでなくTikTok、Salesforce、shopifyやLinkedinなどに代表される海外サービスの国内参入や他言語対応に起因しているためです。こうしたサービスの利用者は豊富な選択肢の中から自分に適したサービスを選択して、気に入れば継続し、気に入らなければ他に乗り換えることを繰り返し繰り返し行なっています。

利用者環境や選択のパラダイムシフトだけではなく、インターネットサービスを提供する側にもパラダイムシフトが起こっています。

分かりやすい例としてメルカリやビザスクのように個人間の売買や個人が企業に商品やサービスを販売するプラットフォーマーの登場といった変化の他、あまり表立って紹介されにくいですがインターネットを介した商品やサービスを提供するプロセスそのものの変化があります。

メルカリを考えてみるとC2Cビジネスというプラットフォームとしての側面のほかに、QRコードによる匿名配送網の構築など、プロセス面でのイノベーションを達成したからこそ爆発的な成長につながったという見方もあります。

また旧来のビジネスモデル中心の考え方や高い性能を持つものを提供すれば売れるという考え方は通用しなくなり、AmazonやNetflixに代表されるように顧客中心・人間中心に全てを再定義して設計していき組織やプロセスの構築までやってのけた企業が成功を収めています。

特に近年注目を集めているSaaSビジネスやiPaaSなどは、これらデジタルビジネスイノベーションを実現した企業やチームのDNAを色濃く受け継いでいます。多額の外部資金調達といった華々しい側面やM&Aなどの買収による企業価値向上策に注目が集まりがちですが、現実には内部の意思決定プロセスや価値提供プロセスといった成長を妨げる内部に発生する様々な摩擦を取り除く頻繁なプロセスのアップデートがあって初めてビジネスのグロースという坂道を駆け抜けています。

この内部プロセスの頻繁なアップデートを可能にしているのが、インターネット技術の活用やクリエイティビティと言われる人の創造性です。

旧時代のビジネス脳がデジタルビジネス失敗を加速する


AmazonやApple、Netflixに代表されるデジタル時代に適応した企業は、顧客中心・人間中心の原則を大事にしながらも倉庫のピッキングや配送、コンテンツ生成などといった利用者の目には見えない内部プロセスをソフトウェアのように考えて構築しています。そこにはデジタル化を加速すればするほど生産性が向上していき、提供価値が増幅する仕組みが組み込まれています。

「利用者にとって、社会にとっての価値とは何か?」

このシンプルであるが深く本質に迫った問いに何度も何度も挑み、ものすごい創意工夫で変革と改善を繰り返して来たからこそ今の強さがあります。

一方、弊社にご相談いただく企業様からはこんなお声もいただきます。

  • デジタルビジネスを立上げてエンジニアやWebデザイナーを雇いPDCAを回しているが、成果が出ない。
  • アドネットワークなどの広告プラットフォームに配信したりTVコマーシャルを売ったりしてマーケティング予算をかけても瞬間的には数字は出るが、かけた予算をいつまでたっても回収できない。
  • B2Bビジネスで営業人員や導入サポート人員を増加していき売上は伸びているが、利益率が全く改善していかない。
  • データ駆動の社内プロセスを構築して仮説検証を繰り返し実験精神で新規事業を進めているが、ビジネス化や成長の芽がずっと見えないでいる。

など、どれも暗中模索といった状況でした。

このような状況にいる企業の方々は努力や工夫を怠っているのでしょうか?

いいえ、相当努力も工夫もされています。しかし、共通することが1つあります。ビジネスモデルという型、組織構造という型、チームの進め方という型を非常に重視されています。ご本人たちが意識できている・意識できていないに関わらず染み付いているようでした。ビジネスモデルやデザイン思考などの「型」または「フレームワーク」は確かに扱いやすく、正しく扱えば成果を得やすいのが特徴です。一方で型の思考に囚われていると、そのプロセスに流れる価値の源泉となる情報に気づきません。

例えば、メディアを運営する企業がユーザーの閲覧・注目を広告収入に変換するモデルというように、先にビジネスモデルを決めてしまうことは、設計されたビジネスの構造が先にあり利用者が後からその構造に乗ってくるというメンタルモデルをそのままにプロセスもプロダクトも設計され提供されてしまいます。これでは、データ駆動型に開発をしてみても、様々なマーケティング施策を実行してみても、UXを向上する目的でUIを改善してみても、肝心の価値を得るはずの顧客や利用者が置き去りにされてしまいます。この状況はデジタル以前に破綻しています。

そもそも、なぜこのような事が起こるのでしょうか。

人間、成功したい気持ちが強い時には、成功者の成功した話し、成功したモデルを真似したいものです。特に昨今では、インターネットメディアや書籍、講演映像など、様々な媒体を通じて成功者の話しを数多く知る事ができます。これは非常に素晴らしいことで、新しい挑戦者を生み出す社会的な循環を作り出します。

一方で、成功者自身が語る成功ロジックが必ずしもあなたの状況に当てはまるとは限りません(むしろ当てはまることは稀です)。こうした媒体で語られる内容は、消費しやすい形に切り取られモデル化され図解されるなどして浸透しています。

一定の型やモデルとして示されたものを疑わずに、その上でひたすら努力しても成果につながることはありません。そのプロセスの固定化から来る固定観念は、次第に組織やチーム内にサイロを生み出し、様々なレイヤーで曖昧な意思決定を生み出し、顧客や利用者は二の次にされてしまい、終いにはこうした考えや進め方が常態化するからこそ、絶えず変化し続ける目の前の現実に、スピーディに対応できなくなる現状を自ら生み出してしまっているのです。つまり、イノベーションの芽を自ら踏み潰しているのと等しいのです。

デジタルビジネスに内部プロセスから適応する


それでは、今なお進化し続けるデジタルビジネスに適応して成功への道を歩む鍵はどこにあるのでしょうか?

ここで一度近年のデジタルビジネスの特徴を考えてみましょう。

  • 表面上のプロダクトやビジネスの型はすぐに模倣される可能性が高い。
  • 様々な種類の豊富なデータを手に入れられ、分析ツールも豊富に揃っている。
  • 他言語展開も容易である。
  • 高い信頼性、安全性も重視される。
  • PCだけではなく、スマートフォンやドローン、家庭用機器などあらゆるモノにインターネットが接続している。
  • 業務プロセスの大小を様々な場面で自動化可能になってきている。
  • 利用者も様々なデジタルプロダクトに触れているため目が肥えてきている。
  • 無料で多くのものが手に入る時代になった。

など、かなりの進化・発展を感じます。さらには社会性の追求や環境配慮などの要素も加わり、ますます複雑化しています。新しい商品やサービス、価値観、消費のあり方、繋がりなどがあらゆる場所・時間で発生することで時代の波を作り出し、インターネットにより繋がった人たちにより情報やモノなどの流通は世界規模で加速しており、常に変化をもたらしています。

このように変化が加速し続けている世界においてビジネスを軌道に乗せるには、変化に適応し続ける必要があり、この適応はもちろんビジネスを提供している組織・チーム・個人の中から生まれます。適応そのものは、これらの組織・チーム・個人レベルでの向き合っている対象に対する洞察やプロセスに対する洞察、仮説、創造的なアプローチ、学習から軌道修正することなどで、地道に積み上げて達成されます。

型にはめて「事業計画通りに進むと3年後に黒字化します」「いくらのマーケティング予算を出せば、何人集客できます」「状況にあう形でカスタマイズされたシステムをこの金額で構築します」といった旧来の型に依存した思考から出された「計画」からは生まれません。計画自体が悪いのではなく、計画の意味が変化しているのです。

つまり、デジタルビジネスの成功の鍵はデジタルそのものではなく、そこに流れる「意味」を捉える、「意味」を付加することが重要です。意味をつかまえ、プロセスを変革し続ける。こうした姿勢と実行力が力強いデジタルビジネスを生み出し、デジタルビジネスに適応した組織・チーム・人を育てます。


今回の記事では「インターネットビジネスに新規参入する前に知っておきたいこと」と題しまして、昨今のデジタルビジネスについていくつか事例を交えて俯瞰しながら、成功と失敗から得られた教訓について概説しました。

もし現在、デジタルビジネスを構想中であったり、リリースしても成果が見えない状況に陥っている場合には無料相談も受け付けておりますので、ぜひお話しをお聞かせください。お待ちしております。

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