新規事業成功の鍵は顧客目線とユーザー目線

2022年10月05日

企業様から事業KPIを伸ばしたいという悩み相談をいただくことがございます。では、具体的にどのような悩みがあるのでしょうか、事業を成功に導くにはどうしたら良いのでしょうか。この記事では事業成功にまつわる悩みを掘り下げていくとともに、大小様々なデジタルビジネスに関わってきた弊社の経験から事業の失敗と成功を分けるポイントについて事例を交えて考察していきます。

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事業成功と失敗の分かれ道、あなたのビジネスはどうですか?

画像提供:Kecko, CC BY 2.0

「プロダクト」とも呼ばれる企業や個人、団体などが提供する商品・サービスは数多くの種類が存在します。米やビール、お弁当などの食品に始まり、歯ブラシやキャンプ用のテント、スニーカー、ゲーム、チワワなどのペット、旅館サービス、水道管工事、荷物の配達、行政サービス、電話、SNS、セキュリティソフト、経費精算ソフトなどあげればキリがありません。最近ではWeb3.0などと言われるようなインターネット取引と場の新しい形も提案されています。それぞれで顧客や利用者の心を掴んで離さないプロダクトもあれば、全く見向きもされなかったり、伸び悩みを見せているプロダクトもあります。

弊社に相談に来るケースとして多いのは「UIUXを改善したい」「顧客転換率(CVR)を上げたい」「新規事業をPMFさせたい」「事業戦略についてアドバイスを欲しい」「新規事業の計画として適切かアドバイスを欲しい」「利益事業の社員を教育して欲しい」「グロースハックを教えて欲しい」「データ分析の仕方を教えてほしい」など広範囲にわたり、事業やプロダクトは伸び悩んでいるからこそ相談が来ます。新規事業の立ち上げ前後だったり、プロダクトをリリースしたけど会員数などのKPIが伸びてこないだったり、一度成長したあとに伸び悩み状態になり相談に来たりという感じです。

このように依頼に来る人・企業は様々な背景を持ち、やっている事業やプロダクトが置かれている状況や制約は異なります。しかし、悩みの根っこ(原因)は案外共通だったりします。

例えば、あるスマートフォンアプリを提供しているX社の話をご紹介します。

事例紹介「プロセス改善でビジネスの成長を目指す」

数年前になりますが、X社はあるプロダクトAとチームに課題を抱えていました。当時、このプロダクトAは消費者向けのアプリとしてリリース準備を迎えていました。私がチームと関わり出したタイミングも丁度この頃で、チームは非常にバタバタしていたのを覚えています。「ユーザー体験の核となる部分」(実際には別の表現でした。レストランで例えるとレシピと空間デザインを見て欲しいと言われている様な状況が近しいです)を見てアドバイスが欲しいというチームのシニアリーダーからのご相談で、早速チームのメンバーに話を聞きに行き、設計方針や具体的な実装内容などを見せてもらいました。その時に「ああ、このパターンかな」という感覚はあったのですが、課題解決をするには十分な情報ではありませんでした。そこで、いつも通り自分のバイアスに飲み込まれないようにするためには可能な限り様々な情報に触れて様々な視点でコンテキストを捉える必要があると考えました。目標数値をシミュレートしているスプレッドシートや仕様書などの内部文書も読み、定例ミーティングや突発的なミーティングにも可能な限り同席させてもらい参加者は誰かや何が話されているのかなども肌感覚でつかもうと努め、マーケティング施策なども詳しくヒアリングしました。もちろん開発中のプロダクトAを実際に触ることも忘れてはいません。この頃、全体像の理解と問題の本質を理解することを優先しました。

ここで、ユーザー体験の核となる部分をユーザー体験設計としましょう。問題はユーザー体験設計が設計されていないことでした。チームメンバー個々の頭には、あるタスク化されたものを進めることは出来ていても、そこにはユーザー体験を設計するという考えが欠如していたのです。

なぜか。答えは事業計画にありました。アプリリリースを計画通りに進めようとプロジェクト管理されていたため、自分たちが企画して仕様化したドキュメントなどからシステムや機能、UIなどを実装すること(機能が満たされること)を優先していたが故に、「価値あるユーザー体験を提供する」という視点が欠如していたのです。よくアプリ開発の現場ではユーザー目線という言葉が飛び交いますが、実際に行っているのはプロダクトの押し付けやマーケットのトレンド分析の発想です。そこには「ユーザー(利用者)」や「顧客」はいないことが多いのです。見ている先は自社内と競合です。このチームも口ではユーザー目線で作ると皆が言っていましたが、実際にやっていることはユーザー目線が出来ていない企業と同じでした。

ここで、ユーザー目線がなぜ重要か、という点について簡単に触れておきましょう。分かりやすい例え話として、砂漠で水を売る場合を考えてみましょう。水がプロダクトです。ユーザーは砂漠にいる人です。砂漠では太陽熱が高く砂地で地面も非常に熱い、そして水が無いからこそ砂漠状態なので植物も動物もほとんどいません。そこを歩いている人がいれば水分補給はままならないため喉はカラカラです。もし自分が水を余計に持っていたら、相手は水を分けて欲しいと願うでしょう。水を売ろうとすれば飛ぶように売れるでしょう。このストーリーを聞くと、当然じゃないか、と思われるかもしれません。この話を当然だと感じる思考は砂漠にいる人のコンテキストを理解できるからこそ、瞬時に水が必要だと感じるのです。仮に砂漠の空気中からコストがほとんど掛からずに容易に水を抽出できる方法を使っている人がいたら、この人は水を買ってくれるでしょうか?つまり水というプロダクトが必要な状況はコンテキスト次第なのです。誰がユーザーか、どんなことを欲しているのか、なぜなのか、いつ発生するのか、解決後はどういう姿を望んでいるのか、などの事柄理解をざっと表現したのがユーザー目線、顧客目線という言葉です。

さて、当時、X社のプロダクトAはリリース間近ともあり現場は非常に慌ただしい状況でした。現場では私の言うことの意味をすぐに理解できる人もいれば、そうではない人もいました。理解していてもリリースまでのタスクに忙殺されて手が空きません。そこで、どうすればプロダクトAとチームに「ユーザー」を中心とした事業の進め方に変えることが出来るのか、それもリリースの邪魔にならずにするにはどうすれば良いのかと考え、作戦を練り、協力者を募り、てこの原理でレバレッジが高くなるポイントを見極めて、段階的にユーザー目線のプロダクトとチームに変革するという方法を取りました。

リリース時点では一部ユーザー目線が反映されただけでしたが、リリースのお祭り騒ぎでKPI(目標となる数値の指標)は一時的に高まりました。しかし、その後チームは売上や利用率などのKPIに苦労しました。ただし、この苦労の到来は事前にチームとも話していましたし、織り込み済みです。リリース後はUIの段階的な変更も実施し、チームコミュニケーションの中身や目線を変え、アプリ利用データや問合せなどのユーザーデータ活用を進めたり、創造性が阻害されている要因を取り除いたり、新しいチームメンバーの教育も協力したり、ミドルマネージャーに助言をしたりと方々に手を打ちました。結果どうなったか。リリースから数年が経過していますが、平均的なアプリ寿命は短命であるにも関わらず、同社の主力アプリの一つとして今もなお健在で、熱狂的なファンに支えられて着実にユーザー基盤を伸ばして運営を継続しています。

この物語から何を教訓として持ち帰れるでしょうか。

事例から教訓を得る

新規事業成功の確率は1000に3つとも言われます。事業のコンテキストは様々ですが成功しない理由には共通点があります。多くの事業に関わっていくと、そういう失敗の予兆や失敗パターンが身についてくるのですが、今回ご紹介したX社のプロダクトAでは、「顧客中心になっていない」という症状が見えてきます。多くの企業は顧客中心、お客様第一主義を標榜しています。しかし、実際に実行できている企業の実態はごくわずかでしょう。あなたの会社、事業チーム、プロダクトチームはいかがでしょうか?

顧客体験やユーザー体験を重視できるようになれば、中長期的に見て、売上を伸ばし、コストを抑えることができ、成功のプラスの循環を生み出すことが出来ます。しかし、中身の伴わない顧客中心を標榜するだけで、実態は自社都合を優先したりすると、顧客は心からあなたの企業やプロダクトを愛することは出来ず、顧客中心の企業やプロダクトに流れていくのも時間の問題です。

今は起業のハードルが下がり、プロダクト開発や届けるハードルが劇的に下がっている時代に突入しています。様々な選択肢が欲求や課題を抱える消費者や企業などにはあり、すぐに試すことができ、すぐに止めることも出来てしまいます。悪い体験はSNSやコミュニティ内に瞬時に拡散されてしまい、一度そういう状況に陥ってしまうとマーケティングなどのコストは高くつくようになります。

さらに、計画的に事業をつくる経営やプロジェクトマネジメントが浸透し、そのツールも多くあるが故に、自社都合の計画通りに進めることになってしまっていたケースも数知れず。そして悪いことに、本人たちは予測を立て計画通りに進めることが当たり前だと信じているため、まさか自分が顧客中心で考えられていないことに気づいてもいません。

さらに悪いことに、計画を重視する傾向にあるマネジメントスタイルでは「管理」の色が強くなっていきます。工場生産のように、よく管理されたプロセスは計画通りに事が進み、品質は安定化しやすく、将来予測が立てやすいメリットがあります。マネジメントする側としては非常に心地よい状態です。

しかし、機械化された工場ではなくマネジメント対象が人である場合、人はエラーをしますし、意見をぶつけ合います。いろいろな感情も持ち、それぞれで人生があります。想定外の行動をたくさんします。管理はこのような人の特性を抑圧します。このような場所で働くスタッフは、生産性が低下し、創造性も低下し、同僚や職場の仲間を尊敬せず信頼せず敵とさえ考えます。自分が持っているノウハウは共有しないことがキャリア戦略として正しくなります。

会社の方針に共感もできず、ただただロボットのように働かされる人生、過酷な労働を強いられる人生は誰が進んで歩みたいと考えるのでしょうか?

事業プロセスの膿は人事にも影響する

当然、離職率は高くなります。職場エンゲージメントだ、従業員エンゲージメントだ、ストレスチェックだ、1on1だ、OKRだ、MBOだ、心理的安全性だ、と言われています。確かにこれらも大事です。人事はさまざまな取り組みを通じて社員をもっと分かろうとして、人材を人財として大切にしたいと試行錯誤し悪戦苦闘しています。しかし、利益を創出するはずの事業マネジメントが「顧客中心」から外れてしまうと、賞与などのインセンティブで短期的な対症療法はできるでしょうが、根本治療にはなりません。人事の方も事業マネジメントには口が出せないことが多いため、自分たちの役割で出来る限りのことをやろうとしますが、焼石に水です。なぜなら、事業側の現場に従業員の活力を削いでしまう「仕組み」が残っているからです。顧客のために考え動きましょう。

組織活性化と事業の成長を達成する

新規事業に限らず、ビジネスを成長させていくには、人を理解することが大事です。買い手も人、プロダクト創出するのも人、売り手も人です。企業に売ろうが、行政に売ろうが、国に売ろうが、相手は結局のところ人です。

改革するにはトップダウン、ボトムアップの両方が重要です。例えば、大きな企業組織になると上はわかっていない事も多いので、課題をひしひしと実感している現場チームやメンバー、その上司が中心となりボトムアップからでも下地は作れます。小さく初めて成功実績を積み上げて、社内に広げていけば良いのです。巻き込むのです。私はそうやって解決した経験もあります。X社の事例では、私はプロダクトAとそのチームの噂を聞きつけた他部署マネージャーやメンバーがやってきてミーティングに参加し、彼ら彼女らの抱える課題に耳を傾け、私の経験や理論から提供できる情報を共有したり壁打ちしたりしました。その時のやりとりや、チームAのメンバーが参加した私が実施した研修会の内容などを含めて、彼ら彼女らなりに持ち帰り反芻して施策を打ち出したり、大手企業ではありましたが全社的なタスクフォースの相談役のようなポジションでコミュニケーションの場にも招待いただき大いにディスカッションもさせていただきました。

バックオフィスも事業チーム側も、全体最適で変わるにはどうすれば良いのでしょうか。個別企業ごとに色や想い、目指している方向性、得意なことなどが異なります。あなたの組織にあった方法で変えていけば良いのです。UIUXからでも良いでしょう。マーケティングチームからでも良いでしょう。とにかく、顧客やユーザーと最も近くで接する人がこうした感覚を持っています。そこから変わりましょう。常に顧客やユーザーを第一に考え、第一に行動しましょう。数字はついてきます。数字の実態は買い手の行動です。買い手の心を揺さぶらないと数字に現れません。

画像提供:Eddy Milfort, CC BY-SA 2.0

すべては顧客目線、ユーザー目線です。ファンを多く作りましょう。

あなたの「顧客」はだれですか?


今回の記事では、プロダクト成長の課題について事例を通じて得られた教訓について概説しました。

もし現在、デジタルビジネスを構想中であったり、リリースしても成果が見えない状況に陥っている場合には無料相談も受け付けております。ぜひお話しをお聞かせください。お待ちしております。

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